瀬戸内レモンについてのまとめ 〜レモンサワー辞典vol.3〜

瀬戸内レモン

「瀬戸内レモン」と聞くだけでなんだかフレッシュで美味しそうな気がしませんか?

レモンサワーのみならず、ジュース、おつまみ、お菓子…「瀬戸内レモン」ブランドはいたるところに使われています。「瀬戸内レモン」は一体何が特別なのか、他の産地とどのような違いがあるのか。
今回は「瀬戸内レモン」についてまとめてみました。

国産レモンのほとんどは「瀬戸内レモン」

そもそもレモンは温暖な地域にしか育たないもの。
日本国内でのレモンの自給率は1割程度しかありません。

流通しているレモンのほとんどはアメリカやチリなどの外国からの輸入品です。
外国産のレモンは、未成熟のまま、防カビ剤や防腐剤が使われた状態で船積みされます。

一方、国内のレモンは、薬剤を使わず、完熟したものを出せます。そのため、安全性、品質の面で高い信頼が国産レモンにはあります
レモンサワーや、レモンティーなど、皮ごと飲み物に入れる機会が多いレモンは、なるべく国産のものを使いたいですよね。

かつて格安の輸入品の打撃を受け、生産が落ち込んだ日本のレモン。
しかしその後、防カビ剤などの安全上の問題も指摘され、国産レモンへの需要が拡大しました。

国産レモンの産地が瀬戸内に偏っている理由

国内におけるレモン生産量の80%以上を担っているのは広島県と愛媛県。

これほどまでにレモンの生産が瀬戸内海周辺の地域に集中してしまう理由は、瀬戸内海周辺の地域特有の風土にあります。

瀬戸内海周辺の地域で育ったレモンが他の地域に比べて「特別」というよりむしろ、瀬戸内周辺でしか国産レモンを育てることができない、というのが本当のところ。

かつてはミカンなど他の柑橘類を生産していましたが、需要があり産地特性を活かせるレモンの方が高い収益性を見込めたため、レモン栽培の拡大が進みました。

ブランディングに成功した瀬戸内レモン

「国産レモン」とだけ書いてある商品を見ても味のイメージがなかなか伝わりませんが、「瀬戸内レモン」という名前を聞くだけで、さわやかな海辺で太陽を浴びて育つ、美味しそうなレモンを思い浮かべてしまいますよね。

「広島レモン」「瀬戸田レモン」等の呼称もありますが、商品アピールとしての「瀬戸内レモン」という名前は、ブランドとして広く浸透しており、マーケティングがかなり成功しているといえます。

瀬戸内海周辺レモン栽培が盛んな理由

「瀬戸内レモン」と呼ばれるレモンを育てているのは、主に瀬戸内海沿岸部の芸予諸島という地域。
「瀬戸内レモン」というという呼称は主に商品名に使われているもので、「広島レモン」という名称も一般的。

「広島レモン」の中には、大崎下島・豊島・大崎上島で栽培されている「大長レモン」、生口島・高根島で栽培されている「瀬戸田レモン」が含まれます。
うち、島単体での生産量が最も多いのが生口島です。

先日、レモンサワー研究所のメンバーで実際に生口島に行ってレモンを堪能してきました。
お花見ならぬ、”レモン見”ができるほど鈴なりのレモンが印象的な景色でした。
生口島での様子はこちらにまとめてありますので、ぜひご覧ください。

レモンを育てる環境として瀬戸内海周辺の地域が適している理由は主に3つ。

1.温暖な気候

レモンは気温マイナス3度になると枯死してしまいます。
瀬戸内海式気候は年間を通じて温暖。海水は一度温まると冷めにくいため、島全体の気温が下がりにくいこともあり、レモンの栽培に適しています。

2.台風などの強風が吹かない

レモン(リスボン種)の枝には長いトゲがあり強い風が吹くと葉や実を傷つけてしまいます。
傷がつくと、カンキツかいよう病という病気の原因となるため、台風の少ない瀬戸内海周辺の地域はレモンの栽培が盛んです。

3.水はけがよく、霧の発生がない

瀬戸内海周辺の地質はほぼ花崗岩とその風化残留土であるまさ土ででできています。
水はけがいい地質は、レモンなどの柑橘類の栽培に向いています。

瀬戸内海周辺の地域は、これらの日本においては達成することが難しい条件を唯一クリアできるのです。

広島県や愛媛県のほかにも、温州みかんが有名な和歌山県、熊本県などで生産していますが、瀬戸内レモンには全く及ばない量です。

こうした気候や地質の条件以外にも、瀬戸内海周辺でレモンを生産している島は、しまなみ海道や安芸灘とびしま海道など離島架橋で繋がっているので、陸路のみで市場まで運搬できるという利点もあります。

レモンは、四季成り性といって、条件さえ整えば条件さえ整えば1年中実が取れる特徴があります。
瀬戸内海周辺の地域では、季節関係なく1年中生のレモンを食べられる体制を確立し、国産レモンの安定した供給を担っています。

また、芸予諸島では、イノシシなどの鳥獣による農作物被害が深刻です。しかし、レモンはその酸味ゆえ鳥獣が被害を回避できており、それも生産量を保てる理由のひとつです。

そもそも瀬戸内レモンとは?

「瀬戸内レモン」と聞くと、不思議と美味しそうな気がしますよね。
宝焼酎の「極上レモンサワー 瀬戸内レモンサワー」、まるか食品の「イカ天 瀬戸内レモン味」など大手メーカーはこぞってお酒やおつまみ、お菓子、ジュースなど「瀬戸内レモン」をうたった商品を出しています。

この大手メーカーが使う「瀬戸内レモン」ブランドについて、老舗シロップメーカーの社長から意外な業界の事情を伺いました。実は「瀬戸内レモン」は、大手が独占して買い占めてしまっているので、契約をしていない他のメーカーには、ほとんど回らないのです。

今回、「瀬戸内レモン」の記事を書くにあたって、レモンの味についての特徴を探したのですが、なかなかレモン自体に関する情報が見つかりませんでした。もちろん農家さんたちは丹精込めて美味しいレモンを育ててくださっていると思います。

しかし、「瀬戸内レモン」というのは「瀬戸内海周辺の地域で育った」というだけのもので。それ以上の意味はないようです。

今回生口島で買ってきたレモンと、他のレモンとの食べ比べ、サワーにしたときの飲み比べの記事も近日中に公開予定です。実際に味は異なるのか、調査してみたいと思います。どうぞお楽しみに!

さらに、「瀬戸内レモン」という名称を使用している商品はほんの少しでも瀬戸内レモンが入っていれば、他の海外産のレモン果汁などと混ざっていても「瀬戸内レモン」と名乗れてしまうそう。

実際、果汁すべてが瀬戸内レモン由来かどうかは、わからないのです。商品によっては(うち瀬戸内レモン〇%)と表示されていることもあるので、注意してチェックしたいですね。

瀬戸内以外でも生産が広がる国産レモン

需要に対して、気候の問題で作れる地域が限られる国産レモン。
現在は、南信州でビニールハウスの中でレモンの栽培が行われていたり、千葉県の松戸市で北限のレモンが栽培されていたりと、瀬戸内海周辺地域以外での栽培もじわじわと広がっています。
「瀬戸内レモン」以外のブランドが出てくる日も近いかもしれません。

レモンは、実よりも皮の方に、栄養やエキスが詰まっています。
皮の方が、ビタミンCの含有量が多く、リモネンというレモンの香りの成分もたっぷり含まれているからです。

レモンの皮に含まれるエキスがしっかり絞られてこそ、苦みや風味が広がる美味しい生絞りレモンサワーになります。
皮ごとすりおろしたり、そのままレモンサワーに入れても安心して飲める、国産レモンの幅広い提供がはじまるとうれしいですね。