【ハイボール超えなるか?】サントリー「レモンサワーの素」ヒットの要因を考える

日経トレンディと日経クロストレンドが発表した「2019年ヒット商品ベスト30」12位に、サントリー「こだわり酒場のレモンサワー」が選ばれました。

炭酸水で割るだけの「素」の人気にとどまらず、缶の売り上げも800万ケースの大ヒット。

居酒屋でも同名ブランドのレモンサワーが急拡大。2020年はレモンサワーが一気にブレイクする予感です。

 

今回は2019年のレモンサワー人気をけん引した、サントリー「こだわり酒場のレモンサワー」 についてご紹介します。

レモンサワーはハイボールの人気に続けるか

「オジサンの飲み物」というイメージがついていたハイボールを、乾杯の定番ドリンクへと大出世させたサントリー。そんなサントリーが次なる狙いを定めたのは「レモンサワー」

 

ハイボール成功の仕掛けと同じ手法を取って、レモンサワー市場を急速に拡大しています。

「こだわり酒場のレモンサワー」の商品形態は3つ。

 

・家で作るレモンサワーの素

・すぐに飲めるレモンサワー缶

・お店で提供する業務用コンク

 

これは、角瓶の拡大手法と同じです。しかし、ウイスキーと比べて「銘柄」という概念が圧倒的に弱いレモンサワー市場。缶チューハイにはブランドがありますが、居酒屋で「レモンサワー」といえばグラスに注がれたものが出てくるだけ。メーカーごとの特徴もわかりません。

そこに「こだわり酒場のレモンサワー」という統一ブランドが現れたことは、レモンサワー界の革命でした。お家でも、お店でも同一ブランドのレモンサワーが飲めるというのは新鮮です。認知度も高まります。家で作る、缶で飲む、店で飲む。この三位一体の戦略こそ、サントリーがレモンサワー市場を盛り上げるために仕掛けた最強の布陣なのです。

 

レモンサワーの素はレモンサワーを身近にした

 

居酒屋では定番のレモンサワー。しかし自宅で作るとなると、焼酎と炭酸とレモン3つの材料が必要になります。水や炭酸で割ればすぐ飲める焼酎やウィスキーとは違い、「そのひと手間」でレモンサワーは家で作る選択肢から外されてきました。

しかしレモンサワーの素はレモン入りのリキュールなので、炭酸で割るだけですぐに飲める家飲みに「レモンサワー」の居場所を新たに確立したといっても過言ではないのです。

オリジナルタンブラーでアピール

サントリーが仕掛けたハイボールの人気拡大には、「ジョッキ」が大きく貢献しました。角瓶をモチーフにしたジョッキは、居酒屋でも目を引きます。「あの人が飲んでるのはなんだろう?」という周囲の客の興味から、注文も増える。さらに飲んでいる人が多くなればなるほど、「流行」が目に見える。そうして若者にとって縁遠かったハイボールは、今や乾杯の定番になりました。

「こだわり酒場のレモンサワー」もその戦略を踏襲しています。大きなロゴの入ったオリジナルのアルミタンブラー。キンキンに冷えているのが伝わって、「ゴクリ」と喉が鳴ります。隣のテーブルに運ばれてきたら、思わず頼んでしまいそう。宣伝効果は抜群。

このタンブラー飲食店での提供だけでなく、おまけとしてプレゼントしていた時期もあったようです。アルミタンブラーで飲めば、おうちでの一杯もさらにおいしくなりそう。

現在は「メルカリ」などのフリマアプリで入手することが可能です。

 

2020年はレモンサワー元年になるか

サントリーがハイボールに続き狙いを定めてきたレモンサワー市場。他のメーカーも、レモンサワー市場へ熱いまなざしを送っています。

寶酒造が開催している「レモンサワーフェスティバル」も今年で3回目。

さらに、コカ・コーラが初のアルコール飲料への参入を果たした「檸檬堂」シリーズはこの秋全国展開に。

2020年は市場争いもさらに激しくなりそう。

乾杯の定番がレモンサワーになる日はすぐそこまで来ているのかもしれません。