おいしいのはどっち?檸檬堂の全種類を山口・埼玉製造で飲み比べてみた

出荷停止になるほどの人気ぶりが話題のコカ・コーラ社初のアルコール飲料檸檬堂。
元々九州限定で展開されていた商品でしたが2019年10月28日に全国解禁。瞬く間にレモンサワー界の主役に躍り出ました。
この檸檬堂に「九州で手に入る山口県の工場のものと、全国で手に入る埼玉県の工場のもので味の違いがある?」という疑惑が浮上。
Twitter等でトレンド入りするほど、かなり大きな話題になりました。
今回はレモンサワー研究所がその真相を探るべく、九州から山口工場の檸檬堂を取り寄せ、実際に埼玉工場のものと飲み比べをして調査!
果たして、本当に味が違うのか?徹底レビューします。
ネット上では檸檬堂は製造工場によって味が違うとの噂が
今回のテーマが注目されたきっかけはあるツイート。
檸檬堂ファンが「九州で販売されている山口県の工場で生産されたものと、全国解禁にあたって生産が始まった埼玉県の工場のもので見た目も味が違う!」と比較画像をアップ。
味や見た目の違いから、ネット上では大きな反応が。元々人気が高い商品だったこともあり、「せっかくなら濃くておいしい山口工場の檸檬堂飲みたい」と個体選別して購入しようとするファンが発生。
ただし、関東で手に入るものはほとんどが埼玉工場のもの。コンビニやスーパー等で檸檬堂の裏側の欄を眺めまわしましたが、東京で山口工場の檸檬堂には出会えませんでした。
なぜ山口工場のものと埼玉工場のもので違いが出てしまうのか。
その原因についてTwitter民たちから様々な意見が。
- 同じ原料メーカーからの、同じ原料、同じ作り方で毎日数千ℓの製品を作っていても、液性に差があることがあるのだから、工場によって差が出るのは仕方がない。
- 山口県の工場は、「ママレード」や夏みかん味の「長州地サイダー」等人気の製品を生産しており、元々柑橘系の加工が上手。
- カップ麺のように、地方によって好まれる味を変えているのでは?
どれも、可能性がありそう…。と思う意見ですが、もちろん真相は分からず…。
実際にコカ・コーラ社に問い合わせをしたユーザーによると、どうやら、コカ・コーラ社公式の見解としては「味に違いはない」らしい。
そうはいっても、あそこまではっきりと色の違いを見せられると、信じられないもの。
レモンサワーを愛するレモンサワー研究所としては、実際に飲み比べをして確かめてみてはなるまい…!
果たして本当に埼玉工場のものと味が違うんでしょうか…?
九州でも埼玉工場製造の檸檬堂が流通している
レモンサワー研究所編集部は、九州・大分に飛び、「山口工場」の檸檬堂と「埼玉工場」の檸檬堂を購入してきました。
九州では山口工場のものが流通していると思いきや、、、店舗によって山口県産のものと埼玉県産のものが混在しているようです。
まず、山口県産の檸檬堂を購入できた「ダイレックス」というお店。
佐賀県に本社がある九州地盤のディスカウントショップです。
埼玉工場の檸檬堂を販売していたのが「ゆめマート」。
西日本に多い、広島に本社があるゆめタウンという大型ショッピングセンター系列のスーパーです。
檸檬堂はもともと九州限定の商品。「ダイレックス」は九州地盤なので、山口工場のものが流れてきやすいのかもしれません。
今回購入したのは「はちみつレモン(山口・埼玉)」「定番レモン(山口・埼玉)」「塩レモン(山口・埼玉)」「鬼レモン(山口)」の計7本。
「鬼レモン」の埼玉工場のものが九州で見つからず、東京で購入する予定でした。
しかし、出荷停止の影響でどこにも「鬼レモン」どころか「檸檬堂」の姿すら見つからず。。。
そこで、今回は泣く泣く、手に入った「はちみつレモン」「定番レモン」「塩レモン」「鬼レモン」の4種類を比較してみました。
※2020/04/07追記
鬼レモンのレビュー追加しました!
どっちの工場がおいしい?いざ、飲み比べ!
レモンサワー研究所が提唱している「レモンサワーの公式」を用いて評価をしています。
今回は缶チューハイなので、グラスの項目は削除してあります。
はちみつレモンと塩レモンは、「はちみつ感」と「塩感」の評価軸をプラスしています。
はちみつレモン


鼻に抜けるはちみつの香りが印象的なあま~いレモンサワー。アルコール3%で、お酒が弱い人も楽しめる、ジュースのような商品です。
ちょっとマニアックな例えかもしれませんが、ディズニーランドのプーさんのハニーハント付近のような匂いがします。あそこで売ってるはちみつポップコーンの香りですね。
つまり、「分かりやすくはちみつっぽい香り」がするのですが、その香りが少し人工的に感じてしまうような気も。私はこの「はちみつ臭」が好きなのでOKでしたが、苦手な人はいるかもしれません。
あと、かなり甘いので、おつまみや食事と楽しみたい人にはおすすめできないかも。
はちみつレモンは「はちみつ感」に明確な違いが
飲み比べてみると。山口工場のものと埼玉工場のもので、はっきりとわかる味の違いがありました。
想定外でしたが、ネットでおいしいと言われていた山口工場のものよりも、埼玉工場のほうがこの「はちみつレモン」はおいしく感じたのです。
一緒に飲んだ友人も、「これは埼玉の方がおいしいね」とコメント。
埼玉工場の方が、口に含んだとたんに、はちみつとレモンの甘酸っぱくて濃い味わいを感じます。鼻に抜けるはちみつの香りも強い。
一方山口工場のものは、はちみつの風味がれもんの後ろに隠れているような印象。レモンの味がして、そのあとほんのりはちみつの味と香りが残るような。
はちみつの豊かな風味と、はっきりした味がお好みの方は埼玉工場の「はちみつレモン」をおすすめします。
檸檬堂 はちみつレモン味の比較表
山口工場 | 埼玉工場 | |
---|---|---|
レモンのフレッシュ感 | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ |
レモンのピール感 | ★☆☆☆☆ | ★☆☆☆☆ |
甘さ | ★★★★★ | ★★★★★ |
アルコールの風味 (スピリッツ) |
★☆☆☆☆ | ★☆☆☆☆ |
炭酸の強さ | ★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ |
はちみつ感 | ★★★★☆ | ★★★★★ |
定番レモン


檸檬堂の定番商品。アルコール5%、果汁10%と従来のレモンサワーよりもレモンをたっぷり配合。(氷結は果汁2.7%)
甘さは控えめで、レモンの風味がちゃんとする。
アルコールのにおいは抑えられていて、飲みやすいのが特徴です。
山口工場と埼玉工場では、こちらはやはり山口工場のもののほうが味が濃く、おいしく感じました。
山口工場のもののほうが味の輪郭がはっきりしているような。レモンのコク、苦み、甘みがわかりやすい。炭酸も埼玉に比べて強めで、飲みごたえを感じました。
埼玉工場のもののほうが口当たりが優しく、炭酸の泡が細かく弱い印象です。
よく言えば上品な感じ。
檸檬堂 定番レモン味の比較表
山口工場 | 埼玉工場 | |
---|---|---|
レモンのフレッシュ感 | ★★★★☆ | ★★★☆☆ |
レモンのピール感 | ★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ |
甘さ | ★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ |
アルコールの風味 (ジン) |
★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ |
炭酸の強さ | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ |
塩レモン


アルコール7%。塩で味を引き締めた「塩レモン」。塩のしょっぱさは感じず、レモンサワーにまろやかさやコクを加えているような印象です。
個人的にはもうちょっと塩っぽいものも飲んでみたいかも?とも思いました。
塩の引き立て効果で、定番レモンより味に個性が出て、檸檬堂シリーズの中では私の一番お気に入りです。
さて、飲み比べてみると、今回対象の3種類の中で一番味に顕著な違いがあったのはこの「塩レモン」でした。
「定番レモン」よりさらに塩味が加わっているからか、味の差が分かりやすかった。山口工場のもののほうがパンチが効いていて、のどごし、レモン感、コク、がはっきりとわかる。
埼玉工場のものは少し物足りない感じ。「定番レモン」と同じく、炭酸の泡が細かく、弱いような気がしました。
一瞬「山口のほうが甘い?」と私は思ったのですが、一緒に飲んだ友人から「塩味が強いからそう感じるんじゃない?」と言われて納得。
甘さというより、「味の濃さ」に違いがあるように感じました。
檸檬堂 塩レモン味の比較表
山口工場 | 埼玉工場 | |
---|---|---|
レモンのフレッシュ感 | ★★★★☆ | ★★★☆☆ |
レモンのピール感 | ★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ |
甘さ | ★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ |
アルコールの風味 (ジン) |
★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ |
炭酸の強さ | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ |
塩感 | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ |
鬼レモン
※2020/04/07追記
鬼レモンのレビュー追加しました!
檸檬堂の人気商品9%の「鬼レモン」。レモン1.5個分を丸ごとすりおろした果汁を使用し、ガツンとくる味わいのストロング系レモンサワーです。なんと2020年4月1日からは、JALの国内線ファーストクラスでの提供も開始されたというから驚き。
皮ごとすりおろしたレモンがこっくりおいしい、贅沢なレモンサワー。気になる山口と埼玉の違いはというと、写真ではわかりづらいのですが、若干見た目でも山口のほうが色が濃い。
味は圧倒的に山口が美味しかったです!檸檬堂の工場ごとの味の違いが議論される発端になったツイートは、「鬼レモン」からでしたが、まさに。素人でもはっきりとわかる違いがありました。
山口はレモンが濃く旨みがあるように感じます。一方埼玉は少しさっぱりめで物足りない。
埼玉のほうがアルコールの匂いがきつく感じましたが、なんとなくカルキ臭いような、作り物のような香りが。もしかしたら水の違いによる風味の差が大きいのかもしれません。
檸檬堂 鬼レモン味の比較表
山口工場 | 埼玉工場 | |
---|---|---|
レモンのフレッシュ感 | ★★★★☆ | ★★★☆☆ |
レモンのピール感 | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ |
甘さ | ★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ |
アルコールの風味 (ジン) |
★★★☆☆ | ★★★★☆ |
炭酸の強さ | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ |
カミソリレモン
※2021/01/06 追記
檸檬堂シリーズの最新作「カミソリレモン」もレビューしてみました。
残念ながら、東京で入手したものなので埼玉工場かと思いますが、缶に製造工場の表記が消えていました。
山口工場は手に入り次第、レポします!
※2021/01/30 追記
噂をまとめてみました!
黒い缶のレモンサワーは珍しいので、売り場でもかなり目を引くデザインでしょう。果汁9%かつ甘味料不使用とのことで、レモンの風味をどこまでも味わえる味になっているそうです。アルコール分は9%と高めの度数。お酒があまり強くない方は少し注意した方が良さそうですね。
一口目。まず感じた印象は、「甘くない……!」でした。はちみつレモンや定番レモンのように、口当たりの良い適度な甘さを感じさせるフレーバーが檸檬堂の特徴だと思っていたのですが、それを覆すほどレモンの主張が強いです。
これは期待できそうです。
注いで色を見てみると、フレッシュな果実をイメージさせる鮮やかな黄色。炭酸がしゅわしゅわと底から浮き出てきて、これから飲むのが楽しみになってしまいます。
実際に2口目以降、飲み続けていてもやはり甘さはありません。酸っぱさが非常に強く出ていました。レモンの匂いは薄いですが、レモンの味をこの上なく味わいたい人には特におすすめだといえます。
檸檬堂 カミソリレモンの比較表
山口工場 | 埼玉工場? | |
---|---|---|
レモンのフレッシュ感 | – | ★★★★☆ |
レモンのピール感 | – | ★★★★☆ |
甘さ | – | ★☆☆☆☆ |
アルコールの風味 (ジン) |
– | ★★★☆☆ |
炭酸の強さ | – | ★★★★☆ |
山口工場と埼玉工場、味の違いは明らか
山口工場と埼玉工場。今回飲み比べをして分かったのは、どの商品にも味に明らかな違いがあったということ。
疑惑は、確信に変わりました。同じ製品にここまでの違いが出るということに、私も驚いています。
これでは冒頭のツイートで紹介したファンが怒って問い合わせをしてしまうのも頷けます。
同じ「檸檬堂」という商品で紹介していることにちょっと疑問を持つほどです。
個人的な意見ですが、「定番レモン」と「塩レモン」「鬼レモン」は明らかに山口工場の方がおいしい。
一方「はちみつレモン」は埼玉工場のほうがおいしい。
なぜ同じ商品でも製造工場で味が違う?
こうした差が生まれる要因に、炭酸や水の違いが考えられます。
3本とも埼玉工場のもののほうが炭酸が弱く感じられました。口当たりが柔らかい。炭酸の泡のキメがこまかい優しい味わいです。
一方の山口工場は、刺激がしっかり感じられ、のどごしもあります。
だから、甘みをおさえた「定番レモン」と「塩レモン」は山口工場、甘みが特徴の「はちみつレモン」は埼玉工場がおいしく感じたのではないでしょうか。
気の抜けた炭酸飲料って、かなり甘くなりますよね。あれと同じ原理です。
単純な炭酸の量による問題なのか、それとも水の違いなのか。
水によって、飲料の味はかなり変化するみたい。
また原材料によっても差が出るようで、例えば同じ「砂糖」を使ってたとしても、砂糖メーカーが違うだけで若干味変わることもあるよう。
九州の味の好みに合わせている?
他にも、原料のレモン自体の違い、や工場の設備、工程などの違いなどが考えられます。
もしくは九州と全国であえて味を変えているという可能性もあるかもしれません。
焼酎文化の強い九州では、サワーはちょっと受け入れがたいなんて時代もありました。
カップ麺が東西でだしの味を変えているように、九州に好まれるように特化した味付けなのかも。
工場表記は2021年に廃止に
※2021年6月追記
レモンサワー研究所も大きな反響があった檸檬堂の工場別の飲み比べ。
しかし、2021年初め頃から工場表記が消えてしまいました。人気の檸檬堂。工場表記の削除はTwitterなどでも話題となります。
工場表記が消えたのは、製造工場別の味が安定したのか、それとも新しい工場(京都工場)ができたことによるコスト・管理の問題なのか。
この疑問を解決するためにも九州の檸檬堂と関東の檸檬堂を飲み比べてみるなど、レモンサワー研究所では追って取材を続けたいと思います。